花宴 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

花宴のまとめです。

和歌

15.深き夜のあはれを知るも入る月のおぼろけならぬ契りとぞ思ふ
    (源氏) 南殿花の宴 朧月夜の登場

16.心いる方ならませばゆみはりのつきなき空に迷はましやは
    (朧月夜) 藤の花の宴

名場面

15.かやうにて世の中の過ちはするぞかしと思ひて、やをら上りてのぞきたまふ。、、、、「朧月夜に似るものぞなき」とうち誦じて、こなたざまに来るものか。いとうれしくて、ふと袖をとらへたまふ。
   (p248 朧月夜との出会い)

16.「扇を取られてからきめを見る」と、うちおほどけたる声に言ひなして、寄りゐたまへり。
   (p263 朧月夜との再会)

[「花宴」を終えてのブログ作成者の感想]

「花宴」はごく短い巻ですが脚注にある通り春の朧月夜、微酔の中で夢幻的に繰り広げられる艶麗な一帖です。内容的には春の賀宴の雅な様子とその夜の朧月夜との遭遇が前半、敵方右大臣邸に招かれての藤の宴と朧月夜との再会が後半、ただそれだけ。非常に分かり易いです。でも藤原俊成が絶賛しているようにこの一帖は幽艶そのもので源氏物語の雰囲気を表わす巻としては一番ではないでしょうか。

式部さんの朗読もトータルで21分半、雅な賀宴の様子と艶やかな朧月夜の登場、実にいいです。何れか一巻を例に挙げて源氏物語を語れと言われればこの「花宴」の巻にしたいと思いました。

さて、朧月夜の君。登場からしてセンセーショナルですね。この女君、これから源氏にとってさほど表には出ないものの極めて重要な存在になっていきます。彼女の生き様は奔放で好き嫌い意見が分かれるところかもしれません。これから若菜上下まで長きに亘るおつきあいになります。どうぞお楽しみに。

以下 寂聴さんと万智ちゃんの対談から抜粋(「愛する源氏物語」俵万智)

 寂聴: 万智ちゃんは「源氏」の中では誰がいちばん好き?
 万智: 私は朧月夜の君が好きなんです。
 寂聴: 私も好きなのよ。いいわね。じゃ、相当あなた、悪い子よ。(笑)
 万智: 源氏に対する恋の仕方が、すごく積極的で。
 寂聴: でも、意外だわね。万智ちゃんが朧月夜が好きなんて。
 万智: 「源氏物語」の中で、もし自分に役が与えられて、どの女人になりたいかって言われたら、やっぱり朧月夜がやりたいです。

カテゴリー: 花宴 パーマリンク

花宴 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括 への7件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    短い巻の中にも春の賀宴の華やぎが凝縮されていて、とてもいい雰囲気を楽しむことができました。
    それと新たにこの時代には珍しく積極的な朧月夜の君の登場で期待感いっぱい。
    余韻、余情を残しての結びが洒落ています。

    そうですか、万智さんは朧月夜好みですか、わかる気がします。
    結構恋多き歌人ですもの・・・

    • 清々爺 のコメント:

      余韻を残した終わり方、その通りですね。連続小説の書き方よく心得ていますよね。

      源氏は契った女性に名前を聞く。朧月夜もそうですが夕顔の時もそうでした。ところが女性は名前(素性)を教えない。男が名前を聞いて女が教えたらそれは永続的な男女関係を認めたことになるってどこかで読んだ気がします。遠い万葉の頃からそうだったのでしょうか。

  2. 式部 のコメント:

     花宴は王朝絵巻風な華やかさが漂っていて、さらっと読んでも思わずその世界に引き込まれてしまいます。うっとりします。
     朧月夜の君はこの時すでに東宮妃に決まっていたから、源氏の君に心惹かれても、名前など教えられなかったのでしょうね。この時代に比較的自分の意思をもって行動した女性でかつ艶麗!! やっぱり好きですねえ。私はこの人物像。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      式部さんもお好きですか。朧月夜も心強い味方を得て喜んでるのじゃないでしょうか。

      六条御息所・葵の上といった息のつまりそうな女性たちの中に朧月夜という奔放な女性を配する。これも作者の物語作りの妙ですね。

      朧月夜は弘徽殿女御の年の離れた妹、即ちあの右大臣の娘。この一族自由奔放・マイペースのB型人間の流れでしょうかねぇ。

  3. ハッチー のコメント:

    清々爺へ

    一昨日はどうも。東北復古のうたともなった”春よ遠き春よーーー”を歌っておくべきだったと後悔しています。

    昨日は、家内と鎌倉に行き、梅を愛でて来ました。気温も温かく快適で、美味しい蕎麦屋も見つけ、一杯頂き、満足しています。

    花宴、今読み終えました。初めての源氏ですので、この帳が一番源氏らしいのかもちろん解りませんが、王朝絵巻、春の宴と言うことで、皆さんが言う通り、艶やかで一気に読めました。実は、先般宇治の源氏ミュージアムに行った際、京都御所も申し込んでおき、拝観して来ました。清涼殿はさすがに大きく、厳粛ですが華やかで、この帳で描かれている花の宴が目に浮かびます。
    朧月夜がどんな女君かまだ分かりませんが、清々爺のいう重要人物とのことで、今後の登場が楽しみです。

    今回歌では

    おほかたに花の姿を見ましかば露も心のおかれましやは

    が平凡でしょうがよかったです。その後の(P248)、”御心の中なりけむこと、いかで漏りにけん”は、皆さん書かれている本帳最後の余韻を残した終わり方と共に、面白いと思いました。

    明日から,葵に挑戦します。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。夜中までカラオケやって昨日は鎌倉へ梅見、そして今日は「花宴」ですか。お忙しくて誠にけっこうです。その調子です。

      1.御所も見学してきましたか。よかったですね。そうだ、言われていた地図ですが先ずはこのブログから次の2つを参照してください。
         ①12.7.11付 源氏物語の舞台
         ②12.12.14付 若紫22・23 コメント欄

       御所の位置は現在とは違ってます。
       「平安京条坊復元図」←これで検索してみてください。
       源氏物語に出てくる各屋敷については書き込んで送りますよ。ちょっと時間ください。

      2.p248 「御心の中なりけむこと、いかで漏りにけん」 は草子地と言い、作者(語り手)の言葉(つぶやき)です。物語の展開を語るのとは別のちょっとした感想です。ここでは、「あらあら、藤壷さまが心の内を吐露されたこんな歌がどうしてこんなところに載せられてるんですかね、、、」ということです。源氏物語には所々にこういう草子地がはさまれておりこれも源氏物語の特徴の一つとされています。

      さて、いよいよ「葵」ですね。お楽しみに。

  4. ハッチー のコメント:

    清々爺へ

    早速のコメントありがとう。

    ①位置関係
    連絡いただいた2箇所のコメント欄は見ました。また平安京条坊復元図はコピーをとりました。この地図だけでも大分位置関係が解ってきそうです。THANKS.
    急ぎませんが、各屋敷の位置を入れた地図ができたら、ぜひコピーを下さい。お手数をかけ恐縮ですが、お待ちします。
    ②草子地
    そういうことですね、解りました。これもありがとう。

コメントを残す