松風(3・4) 明石の入道との永久の別れ

p126 – 134
3.京より迎えの使者下る 明石一家の哀歓
 〈p309 一方、腹心の家来たちを、〉
 
 ①源氏は使者を何人も遣わし意を尽して上京を促す
   →源氏の心配りの立派なところ

 ②移ることは決心して大堰の山荘を造営したものの、いざとなると明石一家はそれぞれに逡巡する。

4.出発の朝の贈答 入道の別離の言葉
 〈p311 いよいよ今日出発という暁方に、〉

 ①明石の入道との別れ 三人の歌が実に切ない
  入道 行くさきをはるかに祈るわかれ路にたえぬは老の涙なりけり
  尼君 もろともに都は出できこのたびやひとり野中の道にまどはん
  明石の君 いきてまたあひ見むことをいつとてかかぎりもしらぬ世をばたのまむ

 ②明石の入道の長い長い口上(いつもながら)
  →明石物語の成り立ちを改めて説明してくれている
  
  →一家の長として誠に理に適った情の深い言葉で説得力があります。私も一家の長としてかくありたいと思います。

 ③三人が三人ともこの朝別れたら二度と入道と会えることはなかろうと思っている。尼君には偏奇な運命を共にしてきた愛する夫との別れ、明石の君には厳しくも愛情を注ぎ続けてくれた父との別れ、そして入道には家族全てを失う別れ、、、考えるだに切なくなります。

 ④G27年3月 源氏、明石に来る
      8月 源氏、明石の君と結ばれる
  G28年 夏  明石の君懐妊
      8月 源氏帰京
  G29年3月 明石の姫君誕生  
      秋  源氏と明石の君、それぞれに住吉に参詣
  G31年秋  明石の君、大堰に移る(本段)

  明石の入道が孫(明石の姫君)を抱いて暮らしたのは2年半、「じいじ、、」と懐いたころであったろうに。  
 

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松風(3・4) 明石の入道との永久の別れ への6件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    大堰に移る一家の決断とはいえいざとなると心乱れる、人間の情として当然でしょうね。
    源氏の真心にほだされていよいよ上京を決断。

    別れの朝の三人の歌、泣かせますね。
    この一家、口では偏屈の入道の事をいろいろ言ってますが真実、娘は父を、尼君は夫を愛しているのですね。
    又入道一人残るのも愛する家族の為に悲しくも厳しい長の決断。
    入道にとって目に入れても痛くないほどに可愛いさかりの姫君との別れ、どんなにせつないことでしょう。
    それぞれに今生の別れとも思える場面に読者も涙、涙です。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      この段は泣かせますね。源氏物語に別れは沢山出てきます。これまでにも六条御息所との野宮の別れ、須磨に立つときの紫の上との別れなどありましたが、今生の別れ(明石の入道にとって)という点では本段が一番切ないのじゃないでしょうか。入道に思い入れてこの段を読むと涙が出てきます。

      (私にはとてもできません。恥を忍んでそっとくっついて行くでしょう。でもそれでは母娘の足を引っ張り大願成就も水の泡になってしまいますもんね)

  2. 式部 のコメント:

    この段、心打たれます。
     特に明石入道の自己犠牲を伴う決断、何度読んでもいいですね。
     もうすこし先のもっと自己を無にしていく決断とともに、強烈な印象が残ります。
     源氏物語の中で私が一番好きな人物です。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      そうでしたね。講読会の時はまだよく分かってなかったので式部さんが「明石の入道NO.1」と強調されてもあまりピンと来てませんでした。偏屈で権謀術数に長けた変わり者と思ってました。今は大分考えが変わりました(式部さんの影響大ですが)。不器用だけど真っ直ぐな人情家で私もかくありたいと思うようになりました(長口上がとてもいいです)。また色々と解説してくださいね。

  3. ハッチー のコメント:

    皆さんへ

    コメントそれぞれ興味深く読ませていただきました。納得です。

    *明石の入道は、娘と妻を大事にする、実直な男だと小生も感じました。娘の幸せを祈り、何とか実現させてあげようと言う親心、また、ために一人明石に残る決断、強い意思を持った男と感心しました。爺じゃないけど、小生だと都までついて行きそうにと思います。
    これから先、入道がどういう形でまた物語に登場するのか、楽しみです。

    *入道の長口上が良いとの爺のコメント、確かに苦しい胸の内を切々と語っており、読みでがある文章と思いますが、ただ、P130最後の行からの一つの文(文章の始まりから ○まで)、長いですね。物語中、最長ですか?現代語訳しながら文章を追っかけている小生には、正直ちょっと息切れの長さでした。でもこれも源氏物語なればこそですよね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      これでまた一人明石の入道フアンが増えました。してやったりです。

      明石の入道の長口上、私がいいと言ったのは飽くまで内容が納得できると言う意味です。長いからいいというのではありません。確かにP130最後の行からのセリフは切れ目がなく長々と続いていますね。そうです、これが源氏物語です。そもそも源氏物語の原文には句読点などなく、句読点は現代読者のためにつけられたものなので一つの文としてどれが一番長いかは議論があるところでしょう。これが一番かどうか分かりません。

      明石の入道の長ゼリフはこれからも出てきます。お楽しみに。

      ダラダラと長い文章大変ですがこれが源氏物語、でも考えてみれば今でもエライさんの祝辞なんぞいつの間にやら主語は変わるし話も跳んで訳が分かりませんもんね、それといっしょです。自分で適当に区切りをつけて(息をつぎながら)読むのがいいと思います。

      (連休、いい天気ですね。エンジョイしてください)

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