玉鬘(17・18) 女君への衣配り

p237 – 246
17.源氏、正月の衣装をととのえて方々に贈る
 〈p235 年の暮には、玉鬘の姫君のお部屋の、〉

 有名な「衣配り」の場面です。
 ①G35年末 新年を迎えるにあたり玉鬘に然るべき衣装を誂えねばならない。そこで職人どもに号令をかけると色取り取りのものを持ってくる。そこで源氏と紫の上は相談して倉にある衣装も出して来て六条院・二条東院に住まわせている女君たちに正月の衣装を贈ることを思いつく。

  →玉鬘のことがきっかけ。六条院完成記念で誠に華々しい行事を思いついたものだ。

 ②紫の上 「いづれも、劣りまさるけぢめも見えぬ物どもなめるを、着たまはん人の御容貌に思ひよそへつつ奉れたまへかし。着たる物のさまに似ぬは、ひがひがしくもありかし」

  →p242総括脚注にある通り服装は着用する人にあったものでなくてはならないと言う考え。おしゃれであるべきとは時代を先取りした考えではなかろうか。

 ③源氏と紫の上でそれぞれの衣装を決めていく。
  →着物のことは知識も興味もなくコメント不可です。ただただすごいなあと思うのみです。

 ②衣配り女君の順番が
  1.紫の上 2.明石の姫君 3.花散里 4.玉鬘 5.末摘花 6.明石の君 7.空蝉
 となっている。。紫式部のこと故順番には必ず意味がある筈で何故明石の君が6番目なんだろうと疑問に思い考えました。

  →私の説はこれは源氏が紫の上の心を推し量って刺激にならないように配慮した結果ではないでしょうか。「そうだ、明石の君にもやっておこうかな」なんて言う感じで6番目に衣装を決めた。でも決めた衣装が気高いものだったので紫の上は「やっぱりね」とおもしろからぬ気持ちになった、、、というものですが如何でしょう。

[参考] 式部さんから紹介ありましたが風俗博物館のHPに各女君の衣裳が載せられています。

    風俗博物館 歳暮の衣配り「源氏物語 玉鬘」 で検索してください。
  
18.末摘花の返歌を見て、源氏和歌を論ずる
 〈p239 どなたからもお礼の御挨拶は一通りではなく、〉

 ①この最後の段は笑いをとるための段でしょうか。末摘花を登場させれば滑稽話になりますから。

 ②末摘花の返歌を見て源氏と紫の上が和歌論議を繰り広げる。
  →作歌法やら歌論書やら色々難しいのがあったのであろう。
  →源氏は(紫式部は)あくまで古式より自由な詠み振りを良しとする。

 ③源氏の女性観
  「すべて女は、たてて好めること設けてしみぬるは、さまよからぬことなり。何ごともいとつきなからむは口惜しからむ。ただ心の筋を、漂はしからずもてしづめおきて、なだらかならむのみなむ、めやすかるべかりける」

  →分かったようなよく分からぬような議論であります。では男はどうなんでしょうね。
  →歌学書など姫君の学問に何の役にも立たないと喝破しているところは賛成ですが。

これで「玉鬘」を終わりG36年、歳時記風の玉鬘物語が展開されます。

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玉鬘(17・18) 女君への衣配り への8件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    ここの場面、源氏物語において豪華絢爛華やかな描写ベスト5に入るのではないでしょうか。
    それぞれの個性にあった衣装を見極めていく源氏の抜群のセンスの良さに感じ入ります。
    殿方にはちょっとわかりづらいかもしれませんね。
    色と柄と織の組み合わせ、今の時代でもすごいおしゃれで粋なファッション感覚だと思います。
    これまでにも源氏自身の衣裳は個性的だったのが思い出されます。
    衣裳配りの順番
    私の考えでは先ず紫の上は一番で当然だと思います。
    一番であれば真っ先に良い衣裳が選べる、明石の君が6番目なのはやはり紫の上への配慮でしょう。
    しかし源氏の内心では最初から明石の君の衣裳は決められていたはずです。
    さも残りもののように紫の上に思わせる・・・
    明石の君の衣裳の素晴らしさが解っていましたから紫の上は口惜しく妬ましかったでしょう。
    でも、明石の君の衣裳を紫の上に着せたとしてもこれはお似合いではありません。
    このモダンで個性的な衣裳は明石の君が召してこそ映えると思います。
    さすが源氏は心得ているし良く見ていると感心する所です。
    お互いが心の探り合いをしていますね。
    それぞれの華やかなお衣裳、想像するだけでも素晴らしく楽しいですね。
    そして衣裳を通して女の隠れた闘いが見え隠れして女性にとっては誠に興味深い場面でした。
    何だかおしゃれ談義をしてしまいました。

    末摘花で幕を締めたのは面白いですね。
    衣装選びの緊張感からホット解放されました。

       母かづらおもかげ残すめぐり逢ひ
          初瀬の宿の奇しき縁しぞ

    • 清々爺 のコメント:

      素晴らしいおしゃれ談義ありがとうございます。私なんぞにはとても思い及ばないところです。

      1.豪華絢爛描写ベスト5、いいですね。賛成です。書かれている衣裳用語一つ一つに意味があるのでしょうね。

      2.衣裳は「色と柄と織」の組み合わせですか、そうなんですね。美術展なんかで衣裳を見る機会はあってもサラッとで通り過ぎてしまうので全く印象に残りません。困ったものです。

      3.明石の君の衣裳はモダンで個性的ですか。そりゃあ紫の上もドキッとしたことでしょう。この衣配りの段、紫の上が意識したのは明石の君だけでしょうね。それが中々出て来ない、お義理に近い末摘花の後にやっと明石の君、そして出てきたのが飛びっきりの逸品。
      上はめざましと見たまふ」のも無理ないでしょう。

      4.玉鬘の歌、これもいいですね。物語中屈指の劇的場面を詠んでいただきました。「母かづら」がいいです。母夕顔との繋がりが見事に表されていると思います。
      (「母かづら」、長谷川伸の股旅物にも合いそうな言葉です)

  2. 式部 のコメント:

      衣配り、読んでいて面白いですよね。
     男性読者で、何のことかさっぱりわからない方がいらしたら、グーグルで「玉鬘衣配り」と検索してください。 風俗博物館 歳暮の衣配り「源氏物語 玉鬘」よりを見ると、それぞれに配られた衣装がそれらしく作られているので、視覚から理解しやすいように思います。

    • 清々爺 のコメント:

      ご紹介ありがとうございます。

      このHP何度も見てたのですが衣裳までは目が届いていませんでした。改めて見せてもらいました。明石の君の白っぽい小袿姿はシックで素晴らしいと思いました(青玉さん言われるモダンで個性的とはこのことなんですね)。全くのおしゃれ音痴ですが何となく分かったような気がします。

      (投稿部分にも紹介させていただきます)

  3. ハッチー のコメント:

    衣裳を文章で読んで想像することは、難題だったので、式部さん推薦のグーグルで検索し、実際衣裳を着た写真を見て、すごく解りやすくなりました。
    また、物語に出てくる各女性陣のイメージも、見える化 でき、面白かったです。
    ありがとうございます。

    • 清々爺 のコメント:

      そうですね。この物語はドンドン筋を追って読み進めればいいというものではなく、おっしゃる通りイメージを膨らませ自分の頭の中に源氏ワールドを作り出すのが読み方だと思います。貴族の生活ぶりをできるだけビジュアル化して身近に感じつつ読んでいきたいと思っています。

  4. 進乃君 のコメント:

    この玉蔓の帖で最も興味をひかれたのは「衣配り」。
    清々爺のコメントに「 式部さんから紹介ありましたが風俗博物館のHPに
    各女君の衣裳が載せられています。」とあるので 早速その風俗博物館のHPを見ました。
    これ(HP)は すぐれものでした。
    (但し着せた人形さんが ぽっちゃりした“おさんどん”みたいな顔つきで 源氏のに登場する女性たちのイメージと全然合わないのが難点でしたが)
    最近の朝日新聞だと記憶していますが、「『源氏』の難しさは当たり前のことが書かれていない点にある。」とありましたが、建物の造りと並び、衣装がまさしくソレですね。
     ※ 余談ですが、平安時代まで 遡らずとも、和装の衣装、服装の知識の劣化は
        甚だしく、最近も 佐多稲子さんの名作「私の東京地図」を読んだのですが
        登場人物の、身上、羽振り、性格が、着用している衣装の形・素材の描写で 
        読者に対しイメージを膨らまそうとするのですが、辞書片手に読んでも
        イメージがつかめず臍を噛む思いがしたものです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      さすが着倒れの京都人!衣配りがよかったですか。
      投稿欄に書きましたがp242の脚注通り紫式部は「服装は、それを着用する人と不可離という考え」でこの物語を通しておりその極致がこの段だと思います。着物好きの人には堪らないでしょうね。

      私は元々着物に限らず服装には全く無頓着なので何も言う資格はありませんが、普段和服を着ることがなくなった現代人には衣裳の説明を聞いてもよく分からないのが実情なのでしょう。でも興味のある人には是非是非勉強して伝えていって欲しいと思います。

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