初音(1・2) G36年元旦の六条院

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右欄の源氏百首、名場面集、青玉和歌集を「玉鬘」まで更新しました。
(万葉さん、ありがとうございました)

「初音」若やかにうぐいすぞ啼く初春の衣くばられし一人のやうに(与謝野晶子)

G35年秋に六条院が完成し女君たちはそれぞれの町に入り、右近が見つけ出してきた玉鬘も六条院に養女として迎え入れられました。年末の衣配りを終えG36年元旦、これが初音の巻です。

そして初音から胡蝶、蛍、常夏、篝火、野分、行幸までの七巻はG36年一年の六条院での出来事(玉鬘中心)が華やかに歳時記風に語られます。物語的には大した話ではないのですがここは六条院での源氏最盛期の栄華の様子を王朝絵巻的に楽しむことでいいのかと思います。

p12 – 16
1.新春の六条院に、平和の瑞気満ちわたる
 〈寂聴訳巻四 p246 新しい年を迎えた元旦の空は、〉

 ①G36元旦。
  年たちかへる朝の空のけしき、なごりなく曇らぬうららけさには、数ならぬ垣根の内だに、雪間の草若やかに色づきはじめ、いつしかとけしきだつ霞に木の芽もうちけぶり、おのづから人の心ものびらかにぞ見ゆるかし。

  →この冒頭素晴らしい思います。中世の公家も江戸の将軍家も元旦には初音の巻を朗読するのが恒例となっていた由、納得です。是非式部さんの朗読を聞き自身でも声に出して読んでみましょう。
  →和歌も目出度い歌が引かれています。
   あらたまの年たちかへる朝より待たるるものは鶯の声(素性法師)
   霞たち木の芽もはるの雪降れば花なき里も花ぞ散りける(紀貫之)
  →脚注6 天・地・人の三才の描写とみる説ある由、賛成です。

2.生ける仏の御国、紫の上の御殿 源氏年賀
 〈p246 紫の上の春の御殿のお庭はとりわけすばらしく、〉

 ①先ず何と言っても六条院の中心、春の町の描写から。明石の姫君は明けて8才。源氏・紫の上・明石の姫君、親子3人の目出度い様子。
  →源氏はさぞ嬉しかったことだろう。正にわが世の春を実感してたのではなかろうか。

 ②源氏 うす氷とけぬる池の鏡には世にたぐひなきかげぞならべる 代表歌
  紫の上 くもりなき池の鏡によろづ世をすむべきかげぞしるく見えける

  →紫の上の歌もこの歌ばかりは翳りがないように思います。

 ③召人中将の君のすねた一言はあらずもがなと思いますがいかがでしょう。

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初音(1・2) G36年元旦の六条院 への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    まねびたてむも言の葉足るまじくなむ。
    本当に言葉に言い表せない元旦の晴れやかさです。

    紫の上のお歌にも素直な喜びと幸福感が久しぶりにあふれていてとても好もしく読者もうれしくなります。
    紫の上が心穏やかであることに安堵します。

    中将の君のひがみっぽい言葉は正月の華やかさに水を差しますね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      正月元旦、新年のめでたさを自然の様子に照らして祝い合うのは日本の誇る素晴らしい伝統だと思います。旧暦から新暦に変わった現代でもそれは変わらない。テレビでは各地の伝統行事が放映され、各家庭でも精一杯正月支度をし御馳走をつくり一族集って新年がいい年であるよう祈り合う。日本以外の国ではそれほどでもないですからね。

      この初音の冒頭は年たちかへる朝のめでたさを謳い上げた傑作だと思います。

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