若菜上(13・14・15) 女三の宮、六条院に嫁入り

p80 – 92
13.二月中旬、女三の宮を六条院に迎え入れる
 〈p57 こうして、いよいよ二月の十日過ぎに、〉

 ①G40年2月10余日 女三の宮六条院に嫁入り!
  御車寄せたる所に、院渡りたまひて、おろしたてまつりたまふ 名場面

  よく抱きおろして姫を迎える源氏である。
  →紫の上を二条院に迎えた時:
   いと軽らかにかき抱きて下ろしたまふ(若紫p96)
  →明石の姫君を二条院に迎えた時:
   若君は、道にて寝たまひにけり。抱きおろされて、泣きなどはしたまはず(薄雲p180)

 ②婚儀が三日間続く。甲斐甲斐しく世話を焼く紫の上。
  
 ③源氏の述懐
  姫宮は、げにまだいと小さく片なりにおはする中にも、いといはけなき気色して、、、、、、いとあまりもののはえなき御さまかなと見たてまつりたまふ 
  →紫の上を引き取ったときに比べ余りに幼い女三の宮。源氏の苦悩の始まり。

 晶子の歌が情況を言い尽くしている。
  たちまちに知らぬ花さくおぼつかな天よりこしをうたがわねども

14.新婚三日の夜、源氏の反省と紫の上の苦悩
 〈p59 お輿入れから三日間は、〉

 ①源氏→紫の上
  今宵ばかりはことわりとゆるしたまひてんな。これより後のとだえあらんこし、身ながらも心づきなかるべけれ。またさりとて、かの院に聞こしめさむことよ

  紫の上→源氏
  みづからの御心ながらだに、え定めたまふまじかなるを、ましてことわりも何も。いづこにとまるべきにか

  →後悔しつつ正当化せねばならない源氏。許すも許さないもない紫の上。

 ②気丈に冷静を装って源氏を送り出した後の紫の上
  自らあれこれ考えるに女房たちの同情と心配の声が耳に入る。知らん顔する紫の上。
  
 ③紫の上→女房たち 
  この宮のかく渡りたまへるこそめやすけれ。
  我も睦びきこえてあらまほしきを、

  →女三の宮の方が上なんですよと宣言する紫の上。
   女房たちが「あまりなる御思ひやりかな」と言うのも無理ないところでしょう。

 ④ふとも寝入られたまはぬを、近くさぶらふ人々あやしとや聞かむと、うちも身じろきたまはぬも、なほいと苦しげなり。
  →これは苦しい。ここまで周りを気遣わねばならないのだろうか。身が持たないでしょうに。

15.源氏、夢に紫の上を見て、暁に急ぎ帰る
 〈p65 ことさら恨んでばかりでいらっしゃるわけではないのですが、〉

 ①その夜源氏は紫の上のことを夢に見て急ぎ紫の上の所へ帰る。周りは雪、冷え込んでいる。

 ②戸をたたく源氏、寝たふり知らんふりの女房たち。
  「こよなく久しかりつるに、身も冷えにけるは。怖ぢきこゆる心のおろかならぬにこそあめれ。さるは、罪なしや」
  →悪役源氏が報復を受ける痛快場面。ユーモアにも富んでいる。

 ③御衣ひきやりなどしたまふに、、、
  →ここで実事はあったのだろうか。丸谷・大野は「あった、それでも紫の上の機嫌は変わらなかった」との説。本文からは「迫ったけど拒まれた」と読むのが自然だと思うのだが、、、。

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若菜上(13・14・15) 女三の宮、六条院に嫁入り への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    いよいよ女三の宮のお輿入れ 。
    こまごまお世話をされ気丈に振舞われる紫の上の辛さ。
     
    思い出すのは髭黒の北の方
    御火取召して、いよいよたきしめさせたてまつりたまふ
    玉蔓の元へ行く髭黒に対し香を焚きしめられ、かいがいしく世話をされるかと思えば一転して香炉の灰を浴びせるシーン。
    心の病とは言えこのように逆上できない紫の上の立場の哀しさ・・・

    晶子の歌にこうもあります。
       涙こそ人を頼めどこぼれけれ心にまさりはかなかるらむ

    幼き若紫が思い出されます。確かに利発な少女でしたね。
    女三の宮の幼さと比較する源氏の後悔。後悔先に立たずです。

    寝た振り、知らんっぷりのタヌキ寝入り場面は自分にも覚えがあり面白いです。
    しかしここでの紫の上は痛々しいです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.髭黒北の方が髭黒に灰をかぶせる場面、ご指摘ありがとうございます。新婚三日に紫の上が源氏を送り出す本段のシーンにそっくりですね。

        とみにもえ渡りたまはぬを、「いとかたはらいたきわざかな」とそそのかしきこえたまへば、なよよかにをかしきほどにえならず匂ひて渡りたまふを、見出だしたまふもいとただにはあらずかし。(p86)

       この場面は覚えておきたいですね。おっしゃる通り北の方のように逆上できず心に閉じ込める他なかった紫の上。「そんなにがんばらなくてもいいのに、、、」と思います。

      2.女三の宮の居室(寝室)は春の町寝殿の西半分(東半分は明石の女御)、紫の上は東の対。即ち六条院春の町にいっしょに住むことになるのですね。正しく妻妾同居で自分は妾の立場に降り下った。考えるだけで震えがきそうです。髭黒が玉鬘(六条院)に出かけるようにどこか他の屋敷に行くのとはインパクトが違うように感じます。(六条院内部でも明石の君の冬の町や花散里の夏の町へ送り出すのとは全く違うでしょう。場所的にも妻としての地位的にも)

      3.与謝野晶子の歌、ありがとうございます。これは源氏物語礼賛歌でしょうか。紫の上の涙、、絶望の涙なんでしょう。かわいそうです。

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