柏木 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

柏木のまとめです。

和歌

72.行方なき空の煙となりぬとも思ふあたりを立ちは離れじ
    (柏木)     あはれ、衛門督!

73.柏木に葉守の神はまさずとも人ならすべき宿の梢か
    (女二の宮)   まめ男、夕霧物語の始まり

名場面

74.六条院にいささかなる事の違ひ目ありて、月ごろ心の中に、、、
    (p259   夕霧に後事を託し柏木死去)

75.あはれ、残り少なき世に生ひ出づべき人にこそ」とて、抱きとりたまへば
    (p270  若君(薫)五十日の祝儀)

[柏木を終えてのブログ作成者の感想]

柏木を終えました。若菜上下・柏木ここまでが一つながりだと思います。長いし重いし疲れましたね。重厚な長編名画を見終わった達成感・満足感・虚脱感みたいじゃないでしょうか。

柏木の評価・受けとめ方について色々ご意見いただきました。人間の強さ・弱さ、優しさ・恐ろしさ、様々な角度から議論ができると思います。柏木は死にましたがストーリー上では生き続けることになります。柏木のこと考え続けていきたいと思います。

「柏」について式部さんから興味深いコメントをいただきました。柏は落葉樹だが来春まで葉が落ちないこと知りました。柏木のことを考える貴重なヒントとして記憶しておきたいと思っています。
  →「若菜下 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括」 コメント欄参照

「柏木」の巻は宇治十帖への布石・序曲の位置づけもあるかと思います。何せ宇治十帖の主人公の一人薫が誕生しているのですから。
  →宇治十帖の年立は薫の年をベースにするのでこの巻がスタートです。
  →即ち G48年=K1年 ということです。
  →国宝絵巻にある源氏が薫を抱く所、源氏物語屈指の名場面だと思います。
   
布石としては柏木2.で病床の柏木が小侍従を介して女三の宮に贈る「あやしき鳥の跡のやう」な手紙が後で出て来ます。頭の隅においていただけばと思います。

では、柏木物語のエピローグ&夕霧物語への展開たる「横笛」に移ります。

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柏木 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括 への8件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    柏木は若菜から登場したのかと思いこんでいましたが過去ブログを振り返ってみれば玉蔓の巻からすでに登場していたのですね。
    柏木のプロフィールが掲げられていてあっ!!そうだったと思い出しました。
    要するに私にとって柏木とはそれほど存在感が薄かったわけです。
    ところが若菜上下、ここ柏木にいたるまでに俄かに脚光を浴び主役になってしまいました。
    恐らく他の公達や女君を忘れることがあっても源氏物語中、柏木を終生忘れることはないと思います。
    それほどインパクトがありました。
    たとえ成就しない恋であろうと源氏にうとまれて死に至るとも薫をとおし宇治十帖へのつながりに大きな布石となり生き続けるのでしょうね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      おっしゃるように柏木は良きにつけ悪しきにつけ読者の心を揺すぶるインパクトを持った男でしたねぇ。第一部では源氏の恋ばかりで他の男性の恋が語られることはありませんでした。ところが第二部になって一変、源氏の女三の宮との結婚を契機に先ず柏木の恋、次に夕霧の恋そして宇治十帖の恋へと源氏以外の恋物語が続いて行きます。

      柏木の恋は読者に「恋ってすごいな」「恋って恐ろしいな」と問題を提起するに十分のインパクトがあったと思います。読者は身を乗り出して次の展開に期待したのじゃないでしょうか。

  2. ハッチー のコメント:

    柏木 かなりIMPACTがある帖でした。
    源氏が健在で生きているのに、必要以上に(小生にはそのように思えてなりません)源氏を意識し死んでいった柏木、まさにあわれを感じられずにいられません。

    深くは考えずサット書きますが、この帖をを読み、恋とは、人間の本能だし、一方でその人の意思によるものと強く意識しました。
    宿世と言われて物語が終わることが多い源氏物語ですが、そうではないと言いたがっている源氏物語を少々感じさせれらる帖でもありました。つまるところ、読者にゆだねる?
    源氏物語で、恋が成就し幸せな二人のまま終わるお話はほとんどないなと思いました。
    自分と恋の相手それぞれに、
    嬉しい恋に始まり、悲しい別れとなるか
    意識が弱いまま恋が始まっていて、悲しい結末がまっているか
    悲しい恋に始まり、悲しい恋に終わるか
    それでも途中では二人とも、あるいは一人が幸せな時があったり、なかったり
    和歌、小説、映画、演歌、
    嬉しい恋で終わることは、どれだかあるのか。。

    気になった歌は

    立ちそひて消えやしなましうきことを思ひみだるる煙くらべに  女三宮

    時しあればかはらぬ色ににほひけり片枝枯れにし宿の桜も  夕霧

    木の下のしづくにぬれてさかさまにかすみの衣着たる春かな

    でした。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      恋とはなんぞや。人間にとってかくも深遠なテーマを強烈に考えさせてくれる。つくづく源氏物語ってすごいなと思います。ハッチーさんのコメントを聞いて紫式部はしてやったりとほくそ笑んでいることでしょう。

      恋は宿世宿世で片づけられるものではなく現世での積極的な意思と行動によるものなんですよ、、、、私もそんなメッセージをつきつけられているように感じます。女性にどんな感情を持ちどんな働きかけをするかは千差万別であり、それに対する女性の受けとめ方も人それぞれで違う。恋には無限のパターンがあるということでしょうか。

      今後とも思いついたこと気がついたこと何でも書き込んでください。

  3. 青玉 のコメント:

    「日曜版より」
    里山を歩くというタイトルで毎週カラーのイラスト入りの植物が紹介されます。
    今日は少しタイミングがずれましたが「柏」が掲載されましたのでメモ的に・・・

    柏餅を包むことで知られる柏の葉。
    冬になってもしばしばそのまま枝に残っている不思議な葉だ。
    名の起こりは「炊葉」で食物を盛る葉を意味する。
    葉が冬を越してもなかなか落ちない理由は葉柄の付く部分に離層ができにくいため。
    5月5日の端午の節句に邪気を祓おうと柏餅を供える風習が伝わっている。
    佐藤春夫の漢詩訳「車塵集」に子夜の「松か柏か」に柏がが出てくる。(漢詩省略)

    どこでどうして来やったか
    凛々しい主がうれひ顔
    三度よぶのに知らぬふり
    松か柏かきのつよい

    以上抜粋ですが源氏物語の柏木には触れられていないのが少し物足りなかったです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます、面白い。柏の由来を初めて知りました。「炊ぐ葉」で「かしわ」ですか。柏餅を包むのはピッタリな訳ですね。

      私は源氏物語でこのようにインパクトのある人物に「柏木」などと訳の分からない名前が付けられていて不満だったのですが皆さんのコメントのお蔭で印象が深くなりました。なまじ「悲劇の主人公然」とした名前がついてるよりあっさりしてていいかも知れません。

  4. 進乃君 のコメント:

    この柏木の帖、とても刺激的で感動的でした。

    柏木と女三ノ宮の不義による薫の出産、
    その罪に煩悩の上、憤死した男の未亡人に、不義された男の息子が
    心寄せ始める、
    この物凄い人間関係の紊乱ぶりは 今までの35帖が
    露払い的前奏だったのかと思うほどです。

    柏木はウジウジした男だと思うように描かれていますが、
    清々爺のコメントの “寂聴さんが、「柏木のこの哀切な気持は、
    源氏物語の中でも、際立ってあわれ深い。男の悲恋の嘆きが、
    こうも格調高いしらべで歌いあげられているのは見事である。
    源氏物語の中で好きな男性を挙げよといわれたら、
    私は柏木を第一にあげる」”と言っているのがよくわかります。
    男だからこそ、不義にここまで苦悩し挙句は死んでしまったのでしょうね。
    女なら・・・・・。

    少し怪訝だったのは、女三ノ宮の出産直後の出家。
    当時でも、常識的に異常だった筈で、世間に”道ならぬ”
    出産と宣伝しているようなものではないのか?

    それに 少し呆れたのは、源氏の女三ノ宮への嫌味。 
    これは凄いですね!

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。よく読み解いておられますねぇ。敬服します。

      1.おっしゃる通り柏木と女三の宮の不義密通・薫の出産が源氏物語最大の見せ場だと思います。これに行きつくために前篇の源氏と藤壷の不義密通・冷泉帝の出産があったのかもしれません。見事に表裏になっています。

      柏木物語は真面目に(深く)読めば読むほど凄さを感じます。皆さん挙ってインパクトのある話だと絶賛でした。

      「柏木の恋」強烈でした。次の「夕霧の恋」もお楽しみに。

      2.「出産直後の女三の宮の出家」 おっしゃる通り怪訝ですね。誰しも不思議に思うでしょうね。他のパートでも皆さんと色々議論していますが出家というものがよく分からないのです。

      3.源氏の女三の宮への嫌味。。。そうですねえ。
        「女三の宮が六条院に嫁いできて以来柏木密通まで一度も源氏と女三の宮は交わったことがなかった(女三の宮は処女であった!)、、、なんて突拍子もない読み解きを先日読みましたが、いくらなんでもそれはないでしょうに。。
         →「源氏物語の読み方」(田中宗孝 幻冬舎ルネッサンス新書)

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