椎本(17) 薫、またもや姫たちを垣間見

p83-88
17.薫、宇治を訪れ、姫君たちをかいま見る
 〈p197 その年、薫の君の御本邸、〉

 ①K24年 女三の宮が住んでいた三条宮が焼ける。
  →先に八の宮邸が焼けて宇治に移住せざるを得なかった。火事は多かったのだろう。
  →女三の宮は六条院に移る。以前いた春の町(柏木との思い出のある)であろうか。

 ②薫は姫たちを自分のものだとは自覚しながら姫の方から心を開いてくるまでは無理やり関係を迫ろうとは思っていない。
  →薫の真情であろう。分かる気がする。

 ③夏の盛り、薫は涼しい所を求めて宇治を訪れる。
  宿直人を呼び出して世話をさせる。
  →「オイ、ちょっと覗けるような所はないのか」とかつぶやいたのではないか。

 ④穴が開いてるところがあって薫は姫たちを垣間見る。
  まづ一人たち出でて、几帳よりさしのぞきて、この御供の人々のとかう行きちがひ、涼みあへるを見たまふなりけり。
  →中の君が薫のお供の若人を覗いている。覗き、覗かれである。

 ⑤薫が見た二人、垣間見の決定的場面です。
  中の君 なかなかさまかはりてはなやかなりと見ゆるは、着なしたまへる人がらなめり。
      かたはらめなど、あならうたげと見えて、にほひやかにやはらかにおほどきたるけはひ、

  →華やかでかわいらしくおっとりしている。快活な性格。

  大君 うちとけたらぬさまして、よしあらんとおぼゆ。頭つき、髪ざしのほど、いますこしあてになまめかしさまさりたり。
     気高う心にくきけはひそひて見ゆ。

  →嗜み深く気品高く優雅で心惹かれる。慎重な性格。

  この二人の容貌・性格をベースとして以後の物語が展開していきます。

 ⑥薫、大君を見て、、
  女一の宮もかうざまにぞおはすべきと、ほの見たてまつりしも思ひくらべて、うち嘆かる。
  →女一の宮 明石の中宮の長女、匂宮の姉。ナンバーワンレデイです。
  →叶わぬとは知りながら薫は女一の宮に恋心(憧れの気持ちか)を抱いている。

これで椎本を終わり長い総角に入ります。薫・匂宮の恋はどう進展するのでしょうか。お楽しみに。

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椎本(17) 薫、またもや姫たちを垣間見 への9件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    火事が多かったいうことは世の中不穏だったのでしょうか?

    何かと忙しさにかまけて宇治へは年明けから夏までのご無沙汰・・・
    これは良くないですね~のんびり構え過ぎではないかしら?
    それとももう姫君は自分のものとの自信たっぷりの余裕でしょうか。
    柏木や夕霧のような押しの一手に欠けますね。

    垣間見た宇治の姫君たち、得も言われぬ美しさに溢れた描写ですね。
    襖の穴から覗き見する場面がいっそう面白いし真面目男の薫のことだから余計におかしみがあります。
    その小さな穴から垣間見た姫君の身体付き、衣装から仕草、頭から髪の様子、手つきや表情まで細やかに表現されており姉妹のそれぞれの美しい姿、様子が活きいきと描かれており薫の観察眼にもおどろかされます。
    色なりとかいふめる翡翠だちていとをかしげに、糸をよりかけたるやうなり。
    究極の褒め言葉のように思います。
    (P88)脚注六
    かわせみ。その羽の色のように艶があり美しい髪の毛をたとえた、とあります。
    この時代から翡翠はあったのですね。以前hodakaさんも翡翠はかわせみが本家だとおっしゃっていましたよね。
    ここで女一の宮(今上帝第一皇女)がちらりと出てくるのは薫、憧れの雲の上の宮でしょ
    うか?
        たまきはる命果てなむ椎本
            月もさやかに久遠の別れ

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.平安時代、火事は多かったと思います。落雷やら放火やら失火やら。確か中宮定子も火事にあってます。源氏物語で語られている京での火事は八の宮が宇治に移るきっかけとなった八の宮邸の火災(橋姫5)と本段の女三の宮三条宮邸の火災の二件です。前者は宇治に舞台を作るための重要な火事ですがこの三条宮の火事はどうでもいいように思うのですが、、、。

      2.何故薫が年をまたいで夏まで宇治を訪れなかったのか、不思議ですね。火事で慌ただしかったのはあるでしょうが、宇治のことが全く気にならなかった訳はないでしょうしねぇ。やはり年末の大君の反応に対し慎重で相手を思い遣る心が強い(逆に言うと臆病・優柔不断)薫は相手が折れてその気になるまでじっくり待とう、しばらく間をおこうと思ったのですかね。

       女の心ゆるびたまはざらむ限りは、あざればみ情けなきさまに見えじと思ひつつ、昔の御心忘れぬ方を深く見知りたまへと思す。

      3.そうでしたね、翡翠はカワセミが本家でヒスイはカワセミから派生したとのことでしたね。源氏物語でカワセミが出てくるのはこの段だけです。女性の黒髪を讃える形容に用いられたようですね。宇治川の清流にはきっとカワセミが飛び交っていたのでしょう。

       薫が前回姫たちを垣間見たのはK22年秋(橋姫10)、今回はそれから2年近く経ったK24年夏。薫の目にはますます成熟した姫たちの姿が眩しかったことでしょう。

      4.椎本の歌、ありがとうございます。「たまきはる」は命にかかる枕詞なんですね。知りませんでした。心の友八の宮を失った薫の無念が伝わってきます。

  2. 青玉 のコメント:

    日々雑感
    昨日、博物館へ大浮世絵展を観に行ってきました。
    ボストン美術館の北斎展、今回の浮世絵展にしても海外へ流れた日本の貴重な絵が余りにも多いのに驚いています。
    今回は菱川師宣の「見返り美人図」が目玉でした。

    浮世絵など江戸時代の作品の中には平家物語や源氏物語、又百人一首からの和歌などを題材にした錦絵など数多いことが新鮮な発見でした。
    以前は見逃していた作品も平家や源氏、又和歌などを少しでもかじるとそう言った関連作品がとても気がかりになり作品をじっくり鑑賞し又解説にも目がいきます。

    今回一番気に入ったのは「略六花撰 喜撰法師 貝合せ」と題した鳥文斎栄之の錦絵です。「わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり
    喜撰法師の和歌がかるたに、貝合せの絵が源氏物語宇治十帖から「橋姫」の最初に薫が垣間見た姫との解説がありました。。
    これは興味ありですよね。
    眼を凝らしてみたけど貝の表面の絵柄まではとても見えません。(拡大鏡が必要)
    当時の絵師が如何に知識人で深い教養があったことに改めて驚いています。

    昨日カルチャー教室の「平家物語」最終回。
    二年目は忠盛に始まり建礼門院に終わりました。
    ここから来月は右京大夫集に繋がります
    講師に登場人物の誰が一番好きな人物ですか?と聞いた所「清盛」だそうです。
    ちなみに私は「薩摩の守忠度」文武両道で俊成に和歌を託すところなどが印象に残っています。

    一方ラジオの平家物語は建礼門院に始まり義仲に終わりました。
    今日、最終回は平家物語の二つの終わり方に触れ六代と潅頂巻で締められました。
    そして加賀美さんが最後に祇園精舎の鐘の声を朗読されました。
    共に二年余り、平家物語にどっぷりつかってしまいましたのでちょっと淋しいです。

    4月から「奥の細道」を名句で辿ると予告がありましたよ。

    • 清々爺 のコメント:

      興味深いレポートありがとうございます。

      平家物語、カルチャー講座とNHKの古典講読ともに2年間ですか、すごいですね。すっかり平家物語通になられたのじゃないですか。いつか「平家物語 道しるべ」、、、考えておいてください。

      4月からの古典講読は奥の細道ですか、これは聞かなくてはいけませんね。
      でも1年間50時間もやるとなるとすごいですよね(奥の細道全文朗読で1時間かかりませんから)。どうやるつもりなんでしょう。興味あります。

       (「NHKラジオ第2 古典講読」 で検索すると概要があります)

  3. 式部 のコメント:

    番組紹介ありがとうございます。
     「奥の細道」土曜の夕方は無理としても、再放送の日曜六時からのを早起きして聞きたいですね。丁寧な解説になると思われますね。前に自分なりに読んだと思っていても、新発見や再発見があるのが古典講読の楽しみです。

    • 清々爺 のコメント:

      NHKの古典講読、詳しくて優れもの(加賀美アナの朗読が秀逸)なんですがテキストがないのですね。奥の細道は講読会でやった講談社学術文庫版で予習しておくのがいいですかねぇ。

  4. 青玉 のコメント:

    二年間ラジオの古典講読を聴いて感じたことですがテキストはあるに越したことはないですが無いメリットも大きいことに気付きました。
    当初テキストばかりに頼っていてついその箇所を探すのに手間取って要所を聴き逃してしまうのです。
    ある時運転中に集中して聴いた放送がとてもス~ッと心に入りよかったのです。(もちろん運転にも集中していましたよ)
    それ以来聴くことのみを楽しみにし、テキストは使わないことにしました。
    カルチャーの友も聴くだけが良いと同意見でした。
    今度の放送は以前清々爺さんに紹介していただいたラジオ第二(2012年4~6月)で放送された「詩歌を楽しむ」芭蕉はいつから芭蕉になったかの講師、佐藤勝明氏なのでその時のテキストが参考になると思います。
    それと手持ちの講談社学術文庫(久富哲雄)で充分だと思います。
    一年間じっくり耳を傾けたいですね。

    • 式部 のコメント:

      ありがとうございます。しっかりと聴くことにのみ集中してみましょう。
      だんだんやることが増えてきて、時間が足りなくなりそうです。

    • 清々爺 のコメント:

      なるほど、先にちょっと予習しておき聴くことに集中するのがいいようですね。それとあのユニークな先生ですか、それは面白い話が聞けそうですね。楽しみです。

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