総角(20・21・22・23) 匂宮、宇治へ紅葉見物 空しく帰る

p194 – 206
20.匂宮、中の君を迎えとる方途に苦慮する
 〈p283 匂宮は無理な算段をやり繰りしてお越しになっては、〉

 ①女方には、またいかならむ、人笑へにやと思ひ嘆きたまへば、げに心づくしに苦しげなるわざかなと見ゆ。
  →姫たちは結ばれたらすぐ捨てられることを心配する。
  →匂宮には捨てる気などさらさらないが女側は受け身でしかない。

 ②さばかりいかにでと思したる六の君の御事を思しよらぬに、なま恨めしと思ひきこえたまふべかめり
  →六条院で女二の宮に預けられている夕霧の六の姫、美貌で有名
  →匂宮には伯父の夕霧が鬱陶しい。この気持ちが宇治への逃避に繋がっているとも言える。

21.薫大君を迎える用意 中の君のために尽力
 〈p285 薫の君は、昨年焼失した三条の宮邸の〉

 ①三条宮修復なり薫は大君を迎えとろうと考える。
  →それならそれですぐ実行に移さなくっちゃ。

 ②10月 衣更え 薫は宇治に衣裳などを送り面倒をみる。
  →これは大君を迎えるために用意したもの。人が好いですなぁ。。

22.匂宮、紅葉狩りを口実に宇治訪問を計る
 〈p286 十月のはじめ頃、薫の君は、〉

 ①匂宮10月1日頃、紅葉見物を口実に宇治へ
  お忍びのつもりが表だって大袈裟になる。
  →当然のこと。薫も匂宮も危機管理が足らない。
  →これが結局は宇治の姫たちの期待を裏切りことになる。

 ②一行は宇治の夕霧山荘へ。舟で紅葉を愛でつつ楽宴。
  →どこから舟に乗ったのだろう。京から夕霧山荘に行くには宇治川を渡らねばならないがどこで渡ったのだろう。姫たちのいる山荘の方が京側なのでよく分かりません。

 ③宮は、あふみの海の心地して、をちかた人の恨みいかにとのみ御心そらなり。
  →琵琶湖は淡水なのでみるめ(海草)はいない。中の君に逢えない。
  →匂宮は憤懣やるかたなかったことだろう。

23.行楽の従者多く、八の宮邸をよそに帰京
 〈p288 興に乗って盛り上がっている人々の騒ぎが〉

 ①中宮の仰せ言にて、宰相の御兄の衛門督、ことごとしき随身ひき連れてうるはしきさまして参りたまへり。
  →万事休す。匂宮も読者も中宮&夕霧を憎たらしく思ったことだろう。

 ②随身たち 御心の中をば知らず、酔ひ乱れて遊び明かしつ。
  →そりゃあ随身たちにしてみれば絶好の行楽。むしろご主人さま(匂宮)に喜んでいただこうと大いに盛り上がったのではないか。

 ③中の君 近きほどにののしりおはして、つれなく過ぎたまふなむ、つらくも口惜しくも思ひ乱れたまふ。
  →折角準備万端で待ち受けていたのにここまで来て見せつけるように騒いでるだけで来れない。中の君が屈辱感に苛まされるのも無理なかろう。

 ④宴席での連作和歌、、、これは空しい。
  匂宮 秋はててさびしさまさる木のもとを吹きなすぐしそ峰の松風
  →匂宮の焦り。松風になって中の君の所へ行きたい心境だったろう。

 ⑤折角の企画が却って仇となった。
  →紅葉見物などとするのが拙い。第一目的のみに絞るべきであった。難しいもんです。でも物語としてはうまいですねぇ。

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総角(20・21・22・23) 匂宮、宇治へ紅葉見物 空しく帰る への3件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    いかに匂宮の思いが本気であっても身分上制約やしがらみが多くすんなりとは事が運ばないようですね。

    一方薫の方、三条宮へ大君を迎えるべく準備を整え宇治への心遣いにも余念ないのに恋の進展には万事のんびりしているように見受けられます。

    紅葉狩りを口実に宇治での逢瀬の思惑が外れて姫君たちの期待を裏切る行為となってしまう・・・
    匂宮も薫も周囲のさんざめきに焦りとイライラが募ったことでしょう。
    宇治の姫君たちの落胆は大きかったでしょうね。

    更に多くの従者で万事休す。
    ましてや目と鼻の先で盛り上がる宴遊に姫君たちは白けてしまいますよね。
    というよりも身の置き所のない悲しみ、怒り、屈辱に苛まれたことでしょう。

    和歌の連作も匂宮にとっては何やらしらじらしいばかりでしょう。
    心は中の君の元に飛んでいると言うのに・・・

  2. 式部 のコメント:

    薫は緻密に準備万端整え、様々な配慮も怠りなく身を処していますが、肝心の恋に関しては油断がありますね。実事はなくとも大君は自分のものだと独り決めしているようです。薫のここが可笑しくて、同情しながら笑ってしまいます。
    宇治の紅葉見物の華やかさ、賑わいの中での匂宮、中の君、薫、大君の心内は紅葉を楽しむどころではなかったでしょうね。それぞれ思うに任せぬ苛立ちや悲しみに打ちひしがれていたことでしょう。
    ただこの設定はいいですね。思い通りにいかないから恋心は一層高まるものです。
    宇治川の紅葉を想像すると読者はこの場面の美しさにうっとりしたでしょうね。

  3. 清々爺 のコメント:

    青玉さん、式部さん ありがとうございます。

    将来は東宮・天皇へという身分の匂宮だけにその行動は全く自由がきかない。本段はその不自由さをこれでもかと語っているように思います。待ち受ける姫たち、何としても逢いに行きたい匂宮。でも結局は大事になってしまって匂宮は宇治川を越えられない。折角のチャンスが仇になって四人は四人ともそれぞれに焦燥感にかられ切歯扼腕したことでしょう。

    姫たちはあくまで受け身。ここは薫の出番でしょうにねぇ。先年匂宮が宇治に中宿りした時も大勢の随行者やら迎えの者たちやらで動きがとれなくなり姫たちに近づくこともできなかった(@椎本1・2)。そのことが全く教訓になっていません。薫が匂宮・中の君の後見人を自覚するなら何か手立てを考えなくっちゃいけません。こっそり中の君を連れ出して匂宮に逢わせるとか、、、。

     →まあそんなことは無理でしょうが、良かれと思っての計画が却って最悪の結果となった訳ですから。読者もイライラしてしまいます。
     →お膳立てをして匂宮受入れの準備をさせたのは薫なんだから、少なくとも自分は抜け出して姫たちに直に事情を説明し詫びを入れるべきでしょうに。

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