総角(27・28・29) 大君、重病に。匂宮訪れ得ず。

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右欄の源氏百首、名場面集、青玉和歌集 椎本まで更新しました。
万葉さん、いつもながらありがとうございます。

p220 -232
27.薫、大君の病を聞き、訪れて看護する
 〈p303 匂宮を待ちに待っていらっしゃる宇治では、〉

 ①待ちきこえたまふ所は、絶え間遠き心地して、
  →宇治が待っているのは匂宮である。薫ではない。

 ②薫、大君が病気と聞いて宇治を訪れる。薫の説明にも大君は耳を貸さない。
  →事態がここまで悪化しては回復不可能である。

28.翌朝、大君自ら薫を枕頭に招く
 〈p306 翌朝、薫の君が、「少しは御気分も〉

 ①翌朝、薫が大君を訪ねるに、大君は薫を側に来させる。
  大君「日ごろ経ればにや、今日はいと苦しくなむ。さらば、こなたに」
  →大君の容態は決定的である。薫は一目見て(気配を察して)そう思わなかったのだろうか。

 ②大君「苦しくてえ聞こえず。すこしためらはむほどに」
  →ここは帰ってはいけない。京の公務は放ったらかすべきであろうに。

29.匂宮の縁談の噂を聞く 大君の嘆き増す
 〈p307 薫の君のお供をしてきているうちに、〉

 ①匂宮と六の君の結婚のこと、日ごろの様子などが薫の供人から情人(八の宮邸の女房)を通じ大君の耳に入る。
  →いつもの狂言回し的手法。読者にも匂宮の様子がよく分かる。

 ②大君「今は限りにこそあなれ、やむごとなき方に定まりたまはぬほどの、なほざりの御すさびにかくまで思しけむを、さすがに中納言などの思はんところを思して、言の葉のかぎり深きなりけり」

  →大君にはこれは辛かっただろう。六の君と中の君、世が世なら中の君の方が正妻であって不思議ではない。それはともかく、「匂宮が中の君に言い寄って、契りも交し三日間も通ったのに結局はお見限りになったのは薫に対する思惑を気にしただけのことだったのか、中の君に対する恋心からではなかったのか、、、」この誤解は決定的である。

 ③こういう思考回路になると頭に浮かぶのは父八の宮の遺言でしかない。
  父のこと、「罪深かなる底にはよも沈みたまはじ、いづくにもいづくにも、おはすらむ方に迎へたまひてよ、かくいみじくもの思ふ身どもをうち棄てたまひて、夢にだに見えたまはぬよ」

  →八の宮の遺言は姫たちにとって悪夢の遺言であった。それが正夢になろうとは。

 ④中の君「故宮の夢に見えたまへる、いともの思したる気色にて、このわたりにこそほのめきたまひつれ」
  大君「亡せたまひて後、いかで夢にも見たてまつらむと思ふを、さらにこそ見たてまつらね」
  →二人の会話は余りにも悲しい。救いようがない。

 この所歌は全く詠まれていない。大君は重病だし中の君もそれどころではない。匂宮から薫からはどうしたのだろう、、、(明日匂宮からの文が来るようです)  

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総角(27・28・29) 大君、重病に。匂宮訪れ得ず。 への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    待てど暮らせど匂宮は来ない・・・
    薫の親身の励ましや見舞いも大君には通じないようですね。

    しかし気弱になった大君は薫を枕元に呼んで少しは心を開いたのでしょうか。
    これは大君なりの最後の覚悟かも知れないのに薫は帰京してしまう。
    肝心なところで薫の判断は裏目に出ますね。
    ここはしっかり付き添ってあげるべきでした。

    匂宮の噂話が大君にも伝わり病状は悪化する
    物語上も現実にも大君のような限りなく悲観的思考の人物には出会ったことがないですね。
    人間どこかに楽観的思考があり物事を良い方にと考えるものですが・・・

    結果的には生きる力をも奪ってしまう八の宮の遺訓だったとしか思えません。
    愛する娘たちをここまで追い詰める父宮の非情な遺訓が恨めしいです
    八の宮は自分亡き後の姫君たちの状況を見越していなかったのでしょうか?
    宮家の誇りにこだわるあまりにも無責任な八の宮に怒りを禁じ得ません。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      折角紅葉狩りで近くまで来ながら中の君の所へは来てくれなかった。大君は悶々としながら自分を追いつめていったのでしょう。そしてついに発病。その間、匂宮は女一の宮と戯れ女房たちと浮気をしていた(昨日のコメントで26段は無用と書きましたが大君の絶望を際立たせるため中の君を差し置いての匂宮の軽い行動を挿入したのかも知れません)。

      おっしゃる通り「大君のような限りなく悲観的思考の人物」はあまりいないでしょうね。そんな思考経路の人間に八の宮の呪縛は酷すぎます。

      父たるもの子どもの性格・志向をみて教育しなければいけません。大君のように思いつめるタイプ、物事を悲観的に考えるタイプには世の中もっと気楽に行けばいいんだと明るい面をこそ強調すべきでしょうに(逆に能天気なお調子者にはガツンとくらわせるべきでしょうが)。確かに宮家の誇りも大事ですが先ずは人間としてまっとうに生きられるべく一人前にすることを考えなくてはと思います。
       →そんなこと言っても八の宮自身に問題があるのだから仕方ないですね。
       →私もまた八の宮への怒りが昂じてきました。

      悲観的思考の大君と考え過ぎ慎重過ぎの薫とでは相性が悪すぎますね。もし匂宮が中の君でなく大君に有無を言わさずとってかかり「お前はオレのモノだ。オレについて来い!」って宣言したらどうなってたのでしょう。大君の心は開かれたのでしょうか。
       →この辺り青黄の宮さんの意見を聞いてみたいですね。
        (そんな暗い女はイヤだと言わないでくださいね)

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