総角(33・34・35) 大君臨終に際しての大君と薫

p240 -253
33.阿闍梨八の宮の夢を語り大君罪業を悲しむ
 〈p317 御祈祷は初夜から始めて法華経を絶え間なく〉

 ①瀕死の大君に対しまたまた阿闍梨が余計なことを言う。
  阿闍梨「いかなる所におはしますらむ。さりとも涼しき方にぞ、、、先つころ夢になむ見えおはしましし。俗の御かたちにて、、、、」
  八の宮が夢に出た。姫たちのことが心にかかって成仏できず彷徨っている、、、
  →Oh, My God! Give me a break!! やめてくれよ!

 ②大君「いかで、かのまだ定まりたまはざらむさきに参でて、同じ所にも
  →可哀そうな大君。死に際まで苦しめられる。

 ③阿闍梨は言少なにて立ちぬ。
  →これはジョークというものだろうか。

 ④薫と中の君 歌の贈答(匂宮から見舞いはなかったのだろうか?)
  つれなき人の御けはひにも通ひて、思ひよそへらるれど、
  →中の君には男の声は夫(匂宮)に聞こえてしまう。情を交した女性の気持ちか。

34.大君、受戒を望むが、女房に妨げられる
 〈p324 大君自身も、平癒しますようにと、〉

 ①大君「なほかかるついでにいかで亡せなむ」
  →もう生きようというより死を願望している。

 ②大君「、、かたちをも変へてむ、さてのみこそ、長き心をもかたみに見はつべきわざなれ」
  →大君の出家願望。今から思うと大君はもっと早く(八の宮の一周忌ぐらいのタイミングで)出家するのがベストだったのかも。阿闍梨はこういうことこそ進言するべきではなかったのか。

 ③大君 「忌むことなん、いと験ありて命延ぶることと聞きしを、さやうに阿闍梨にのたまへ」
  →薫も女房たちも大君の今際の願いを聞いてやればいいのに、、。

35.豊明の夜、臨終の大君、薫を妹の件で恨む
 〈p325 薫の君がこうして宇治にずっと籠りっきりで〉

 ①豊明=新嘗祭(11月中の兎の日の翌日 宮中の重要行事
  風いたう吹きて、雪の降るさまあわたたしう荒れまどふ。
  →寒々しい冬の描写

 ②薫 かきくもり日かげも見えぬ奥山に心をくらすころにもあるかな
  →薫は「何でオレはついてないんだろう、、悪いことした覚えもないのに」と感じていたのではないか。

 ③大君の描写
  腕などもいと細うなりて、影のやうに弱げなるものから、、、衾を押しやりて、中に身もなき雛を臥せたらむ心地して、、、
  →自ら食を断ち死を願望してた大君の痩せ細った様子、哀れである。

 ④大君臨終に際しての薫と大君の会話
  大君最後の言葉「かくはかなかりけるものを、思ひ隈なきやうに思されたりつるもかひなければ、、、、、、これのみなむ恨めしきふしにてとまりぬべうおぼえはべる」
  →結局大君の心は変わっていない。中の君と薫が結婚し、自分は独身を貫く、これが叶わなかったのが恨めしい。

  薫の返答「かくいみじうもの思ふべき身にやありけん、いかにもいかにも、、、、今なむ、悔しく心苦しうもおぼゆる。されども、うしろめたくな思ひきこえたまひそ」
  →結果論的には薫は大君の望み通りにしなかったことを後悔したのであろうが、薫としては中の君-匂宮、大君-薫のダブル結婚が理想だった訳でそう画策したのだから、、、。大君の決意の強さを読み間違えたということだろうか。

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総角(33・34・35) 大君臨終に際しての大君と薫 への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    重病の大君に対し阿闍梨の言葉は僧とも思えません。
    「八の宮は成仏なさっているからご安心くだされ」ぐらい言っても良さそうなのに・・・

    死に近い大君の願いも聞き入れられずその心情の深さや思いの複雑さがなおも繰り返され、病の回復どころか死に追いやるようなものです。

    薫と大君、相変わらず過去を悔いる後ろ向きの最後の会話。
    二人らしいとも言えますがあまりにも自己犠牲の幸い薄き大君の人生が哀れをさそいます。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      大君の今際の言葉、臨終の姿には読者として可哀そうというより何でそこまで分からず屋なのかと滅入ってしまいます。

      脚注p253にある通り藤壷や紫の上の臨終の描写と比較して考えるべきでしょうが、藤壷の場合は立ち場上源氏にあれ以上の言葉は無理だろうし、紫の上の場合も過去の辛さは辛さとして現状を受容し安らかな気持ちで死を迎えていると思います。大君の死の場面にはホッとするところが何もありません。読む方も辛いです。

      (藤壷の死=薄雲p196 紫の上の死=御法p252-)

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