早蕨(8・9・10) 中の君、二条院に落ち着く

p41 – 50
8.中の君、二条院に落ち着く 薫ひそかに後悔
 〈p36 夜に入って大分遅くなった頃、〉

 ①中の君、二条院へ
  いかばかりのことにかと見えたまへる御ありさまの、にはかにかく定まりたまへば、おぼろけならず思さるることなめりと、世人も心にくく思ひおどろきけり。
  →零落の姫宮を二条院に引き取る。正妻でないにせよ、世間は「ほお~っ」と驚きの声を上げたことだろう。

 ②中納言は、三条宮に、この二十日余日のほどに渡りたまはんとて、
  →薫の三条宮は二条院の南に隣接している(地図要チェック)。
  →何とも絶妙な配置である。

 ③薫 しなてるやにほの湖に漕ぐ舟のまほならねどもあひ見しものを
  →あひ見し=情交する。「ああ、いい所まで行ったのに、」未練たらしい。

9.夕霧匂宮に不満、薫を婿に望み拒まれる
 〈p38 夕霧の右大臣は、六の君を匂宮にさし上げるのを、〉

 ①右の大殿は、六の君を宮に奉りたまはんと、
  →夕霧は大君(一の君)を東宮に入れている。六の君を匂宮には既定路線。
  →その機先を制し匂宮は中の君を二条院へ入れた。怒る夕霧。

 ②さらばと、夕霧は六の宮を薫に打診。
  薫「世のはかなさを目に近く見しに、いと心憂く。身もゆゆしうおぼゆれば、いかにもいかにも、さやうのありさまはものうくなむ」
  →匂宮と六の君のことは薫も知っていた筈。これは受けられない。
  →さらに薫は夕霧とは兄弟でもないことを知っており、うしろめたい気持ちで生きている。このような華やかな婚礼には拒否反応が働いたことだろう。
  →むしろ夕霧が何故薫にこんな打診をするのか疑問である。

10.薫、二条院を訪問 薫・中の君・匂宮の心
 〈p39 花盛りの頃、薫の君は近所の二条院の桜を〉

 ①3月初旬、花盛り。二条院は桜が多い。
  薫が二条院に匂宮(&中の君)を訪ねていく。

 ②薫は匂宮と話した後、、、立ち出でたまひて、対の御方へ参りたまへり。
  →オイオイ、人妻の所に行くのは如何なものか。

 ③中の君「げにおはせましかば、おぼつかなからず往き返り、かたみに花の色、鳥の声をも、をりにつけつつ、すこし心ゆきて過ぐしつべかりける世を、、」
  →大君が薫と結婚し三条宮にいて自分が匂宮に迎えられて二条院に来てればよかったのに、、、。
  →ダブル結婚ができていれば4人ともハッピーだった、、、でもそうはうまくいかない。

 ④段末の匂宮、薫、中の君 3人の会話、心内は非常に面白い。
  匂宮:よそよそしくするのもなんだけど、危ないなあ、気をつけてね。
  中の君:お世話になってる薫さま、私としてはただそれだけなんだけど。
  薫:ああ、なんでこんなことになってしまったのか。。

かくて短い早蕨は終わり長い宿木へと移ります。

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早蕨(8・9・10) 中の君、二条院に落ち着く への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    中の君、いよいよ二条院へ迎えられる。
    その豪華さは目を見張るばかりだったでしょうね。
    匂宮はお姫様抱っこをしてさしあげられたのでしょうか。
    ここまでは中の君幸せそうに見えるのですが・・・

    なるほどこの距離の近さではいやが上にも意識せざるを得ないですがどこまで薫は未練たらしいのでしょうね~

    夕霧の六の姫、何やら中の君の存在を脅かしそうですね。

    そして薫の二条院訪問、これは後見人としての言い訳にもとれますが内心は中の君に会いたい一心でしょう。
    微妙な三角関係ですね。
    お互い腹の探り合いにも似て読者にはそれぞれの心内が読めてきます。
    さて中の君の京を舞台にした物語のゆくえや如何に?

         やはらかに萌ゆる早蕨なつかしき
             亡き人偲ぶよすがとなりぬ

    {和歌 裏話}
    最近和歌がス~ッと出てこなくなりました。
    語彙の貧しさから自身の言葉の限界を痛感しています。
    桐壺に始まる序盤のころは手探り状態で言葉がぎくしゃくしておりました。
    やがて中盤頃からは言葉遊びの感覚で乗ってきたりして早い段階でイメージが浮かび楽しんで詠むことができていたのです。
    ところがここ宇治十帖のあたりからはぎりぎりまで歌が浮かびません。
    言葉の羅列が目立ち上の句と下の句の繋がりが悪くなってきました。
    この調子では「夢の浮橋」まで辿りつけるだろうかと心配になってきました。
    時にはパクリ(万葉集や百人一首)に近い言葉もあったりして素人の浅はかさ暴露です。
    残す六首、なんとか頑張りたい心境です。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.薫が二条院を訪ね、しばし匂宮と語らい、匂宮が宮中に行ってしまうと、中の君と会いにいく(御簾越しではあるが)。この神経が理解できません。ご主人が出かけたら暇乞いをしていっしょに帰るのが普通でしょう。場所が宇治ならいざしらず匂宮の自宅二条院ですからねぇ。いくら後見人だと言っても一対一の面談はマズイのではと思ってしまいます。

       それを匂宮も何とも言わない。というか危ないなあとは思いつつ許容している。。。その辺が男女間の何ともおおらかな所でちょっとついていけない感じがします。
       (この後、益々エスカレートしていくのですが)

      2.和歌、ありがとうございます。早蕨の歌、年が改まって萌える早蕨を見ても思い出すは亡き大君のこと、、、いいじゃないですか。

      一帖一首、ご苦労の程がよく分かります。歌が出にくくなったのは多分に物語の内容によるんじゃないでしょうか。第一部第二部は結構スカッとしててモチーフもはっきりしてた。ところが宇治十帖はあれやこれやが多すぎて頭の中がこんがらがってしまう。それが影響してるのかも知れませんね。

      後六首、浮舟が出てくると雰囲気変りますから大丈夫ですよ。 

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