東屋(10・11) 浮舟の縁談、破談に 母の嘆き

p36-43
10.浮舟の結婚の準備 常陸介破断を告げる
 〈p208 北の方は、誰にも知らせず、〉

 ①よくよく考えてみるとこの段不審なことが多い。
  ・何故北の方(中将の君)は介に浮舟の結婚のことを一切言ってなかったのか。
   (バレルに決まっておろうに)
  ・何故常陸介は浮舟と実娘をそこまで区別しようとするのか。
   (浮舟は連れ子だが親王の落し胤。浮舟の利用価値もあるのではないか)
  ・介と北の方、別に憎み合ってるような夫婦仲でもあるまいに。
  ・そもそも介が北の方を後妻にしたのは北の方の血筋と女性としての魅力をを買ってであろうに。
   (北の方はぶくぶくと太ったとあるからイヤになったのかも)
  →以上余談です。

 ②北の方 婚礼支度の浮舟を見て感慨にふける。
  世が世なら少将ふぜいに嫁ぐこともなかったろうに、、
  「あはれや、親に知られたてまつりて生ひ立ちたまはましかば、、」
  →つくづく八の宮の非情が恨めしかったことだろう。

 ③常陸介、北の方に憎しみを込めて仲人との語らいを通告する。
  めでたからむ御むすめをば、要ぜさせたまふ君たちあらじ。賤しく異やうならむなにがしらが女子をぞ、いやしうも尋ねのたまふめれ。
  →一方的に浮舟の縁談を進めていた北の方。介が怒るのも一理はあろう。

11.中将の君、乳母とともに浮舟の不運を嘆く
 〈p210 こちらの部屋に来てみますと、〉

 ①浮舟の乳母が登場。この乳母、今後大活躍する重要脇役です。

 ②少将との破談を聞いた乳母、むしろそれでよかったと考える。
  乳母「何か。これも御幸ひにて違ふこととも知らず、、、、、、
     大将殿の御さま容貌の、ほのかに見たてまつりしに、さも命延ぶる心地のしはべりしかな。、、、」

  →乳母は薫しかないと考えている。(薫への道筋がはっきりしてきた)

 ③北の方の冷静な分析
  「かの母宮などの御方にあらせて、時々も見むとは思しもしなん、それ、はた、げにめでたき御あたりなれども、いと胸いたかるべきことなり。」
  →召人として辛い目に合った北の方の実感であろう。
  →でも上昇志向も消しがたい。ひょっとして薫の厚遇を受けれたらとの気持ちもあろう。

 ④夫婦のあり方に対する北の方の述懐
  「故宮の御ありさまは、いと情々しくめでたくをかしくおはせしかど、人数にも思さざりしかば、いかばかりかは心憂くつらかりし。この、いと言ふかひなく、情なく、さまあしき人なれど、ひたおもむきに二心なきを見れば、心やすくて年ごろをも過ぐしつるなり」
  
  →北の方の経験に基く述懐、説得力がある。
  →一夫多妻妾は辛い。一夫一妻がいい。これぞ紫式部の考えではなかろうか。
  →夫婦ともども二心がないのが一番。男にとっても同様である。

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東屋(10・11) 浮舟の縁談、破談に 母の嘆き への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    婿を迎える準備も北の方の独断、その婿には別の縁談が進んでいる。
    皮肉な話ですね。
    夫婦でありながら大事な娘の縁談話に全く意思の疎通がないようです。
    日ごろの鬱憤を晴らすような介の容赦ない北の方への攻撃ですね。
    憎み合っているわけでもなさそうなのに不思議な夫婦です。

    さてこの破談は浮舟にとって凶か吉か?
    中将の君と乳母との会話。
    乳母は薫に期待しているようですが・・・
    自身の経験をふまえ揺れ動く母としての心情。
    夫婦のあり方、女の幸せを巡る北の方の悩み、深刻ですね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      中将の君は少将を浮舟の婿にしようとしたが破談となり、それではもっと上をと思いあぐむ。でも薫にとなると召人になってしまい自分のようにポイっと捨てられる恐れがある、、さてどうするか。自分がひどい仕打ちを受けただけに深刻な悩みだったことでしょう。

      源氏物語には源氏の中将の君・中納言の君、薫の按察の君など召人と呼ばれる女性が多数登場します。正式な結婚をした妻では勿論なく第何夫人でもない。誠に中途半端でいつ捨てられるか分からない。今の感覚からするとトンデモナイ話だと思います。こういう人たちは主人たちとの関係が切れた後どういう人生を生きたのでしょうか。いささか心配ですが、以外とあっさりとそれはそれとして割り切ってあっけんからんと生きたのかもしれませんね。

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