私が選んだ名場面ー「源氏物語 名場面集」より

名場面についても印象深かった5つを選んでみました。初めて読んだ時2回目、3回目と少しづつ感じが違うようではありますがやはり一番最初の印象が強いように思います。

(物語順)
①某の院で夕顔物の怪に取り殺される(夕顔p234~)
 宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに、御枕上にいとをかしげなる女ゐて、「おのがいとめでたしと見たてまつるをば尋ね思ほさで、かくことなることなき人を率ておはして時めかしたまふこそ、いとめざましくつらけれ」とて、、、

 →空蝉の時は首尾よく事を果たした源氏も驚いたことだろう。源氏が迎えた初めての修羅場。惟光と右近の活躍。オカルト的要素もあり身震いしながら読んだものでした。

②葵の上・六条御息所 車争い(葵p20~)
 、、、ほのかなる袖口、裳の裾、汗衫など、物の色いときよらにて、ことさらにやつれたるけはひしるく見ゆる車二つあり。「これは、さらにさやうにさし退けなどすべき御車にもあらず」と口強くて手触れさせず。、、、

 →葵の上と六条御息所、ガチンコの三角関係です。六条御息所の惨めさは分かりますがやはり葵の上が可哀そうです。まあ、悪いのは源氏でしょうが。。

③玉鬘・右近、椿市での遭遇(玉鬘p192~)
 、、、物のはさまよりのぞけば、この男の顔見し心地す。誰とはえおぼえず。いと若かりしほどを見しに、ふとり黒みてやつれたれば、多くの年隔てたる目には、ふとしも見分けぬなりけり。、、、
 
 →右近には18年ぶり。正に右近の執念の賜物。長谷観音のご利益のほどであろう。
 →思わず「やった!よかった!」と喝采したものでした。

④唐猫事件 柏木、女三の宮を垣間見(若菜上p200~)
 、、、几帳の際すこし入りたるほどに、袿姿にて立ちたまへる人あり。階より西の二の間の東のそばなれば、紛れどころもなくあらはに見入れらる。紅梅にやあらむ、濃き薄きすぎすぎにあまた重なりたるけぢめはなやかに、、、

 →若菜~柏木の「柏木物語」の始まりです。
 →源氏が北山で紫の上を垣間見たシーンとともに印象に残ります。
 →それにしても猫を小道具に使ったところなんぞアッパレ!という他ありません。

⑤浮舟・匂宮 恋の道行き(浮舟p214~)
 いとはかなげなるものと、明け暮れ見出だす小さき舟に乗りたまひて、さし渡りたまふほど、遥かならむ岸にしも漕ぎ離れたらむやうに心細くおぼえて、つとつきて抱かれたるもいとらうたしと思す。

 →やはり宇治十帖ではこの件でしょう。正真正銘の名場面だと思います。
 →男らしい匂宮と女っぽい浮舟、「いよ~~、ご両人!」と声がかかるところでしょうか。

次点を二つ

〇源氏・朧月夜 15年ぶりの逢瀬(若菜上p102~)
 、、、昔おぼえたる御対面に、その世のことも遠からぬ心地して、え心強くももてなしたまはず。なほらうらうじく、若う、なつかしくて、ひとかたならぬ世のつつましさをもあはれをも、思ひ乱れて、嘆きがちにてものしたまふ気色など、、、

 →最高の官能場面ではないでしょうか。

〇仲人、八面六臂の大口上(東屋p31~)
 、、直人の限りなき富といふめる勢ひにはまさりたまへり。来年四位になりたまひなむ。こたみの頭は疑ひなく、帝の御口づからごてたまへるなり。、、

 →最高の滑稽場面だと思います。帝の言葉の捏造、笑い転げました。

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私が選んだ名場面ー「源氏物語 名場面集」より への2件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    名場面、印象深い場面を私なりに取り上げてみました。

    ① 桐壺(一)
       いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらいたまひける中に・・・~
    物語の冒頭、余りにも有名な書きだし。
    私が唯一暗誦できるたったの三行。これは忘れるにも忘れられません。
    そう言う意味で印象に残る一場面と言うよりも物語の始まり部分です。

    ② 若紫(四)
       髪は扇をひろげたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり・・・
       「雀の子を犬君が逃がしつる~」

    初々しい若紫を初めて源氏が見いだす場面は映像的です。

    ③ 紅葉賀(一)
       源氏の中将は、青海波をぞ舞ひたまひける・・・~
       同じ舞の足踏面持、世に見えぬさまなり・・・~

    この世のものとは思われない仏の御迦稜頻伽の声、これこそ光源氏の真骨頂。

    ④ 若菜下(三一)
       浅緑の薄様なる文の押しまきたる端見ゆるを・・・~御覧ずるに、男の手なり。
    読者もハラハラドキドキ、胸が早鐘のように鳴りました。

    ⑤ 浮舟(一七)
       いとはかなげなるものと、明け暮れ見出だす小さき舟に乗りたまひて・・・~
    もうここは言うまでもありません。
    宇治十帖のクライマックス、誰も文句のないところでしょう。
     
    そしてもう一つ最後に番外として
       夢浮橋(一二)
       人の隠しすゑたるにやあらんと
    唐突にして意表を突く終わり方、今となってはこれ以上の終わり方はないように思える昨今です。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      何れも異存ありません。こうして名場面をピックアップして並べると物語が走馬灯のように蘇ります。光源氏の栄華と影、女君の艶やかさと苦悩。いや大した物語だったなあとつくづく思います。

      挙げていただいた①②⑤、正にこの三場面を先日の同窓会で式部さんに朗読してもらいました。大好評でした。

      ④の源氏が柏木から女三の宮への恋文を見つける場面、賢木で源氏と朧月夜の逢瀬場面が見つかる場面とともにハラハラしましたね。気の弱い私なんぞ目をそむけたくなったものでした。

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