帚木(15) 空蝉とコトに及ぶ ♡♡

p135 – 146

さて、源氏物語最初の官能場面です。(一度目の時はその昔「チャタレイ夫人の恋人」を英語で読んだ時のことを思い出しながらワクワクして読みました)

15.方違えの夜、源氏、空蝉と契る
 〈p107 源氏の君は、落ち着いてお寝みにもなれず、〉

 ①小君と空蝉の会話によって状況を説明する → うまいものです。
  p136脚注(黒◆)の説明の通り。

 ②「掛金をこころみに引きあけたまへれば、あなたよりは鎖さざりけり
  どうして開いてたのか。忘れたのか、わざとか、それとも誰かが外したのか?

 ③その時の源氏の口上 → 全くよく言うものです(寂聴さんの言う「口べっぴん」)
  「うちつけに、深からぬ心のほどと、、、浅くはあらじと思ひなしたまへ」
  「違ふべくもあらぬ心のしるべを、、、、思ふことすこし聞こゆべきぞ」

 ④「いと小さやかなれば、かき抱きて障子のもと出でたまふ
  小柄な空蝉。お姫さま抱っこで。(いつも女性を運ぶ時はこの抱き方、よくできますね)

 ⑤「暁に御迎へにものせよ
  源氏の傍若無人・ゴーマン言葉集の一つ。
 (気の弱い私は生涯一度でもこんな風に言ってみたいと思っています)

 ⑥必死に抗弁する空蝉、アレやコレや言いながら行動を進めていく源氏。

 ⑦事後の空蝉の思い。これっきりで二度と許すことはなかった。でも源氏の心から離れることはなく、後々まで主要脇役の一人で居続ける。

 ⑧優艶な後朝の情景。物語中でもこれだけ詳しく書かれたのは他にないのでは。

 ⑨「月は有明にて光をさまれるものから、かげさやかに見えて
    これを芭蕉は奥の細道の旅立ちのところでそっくりいただいている。
  「月は在明にて光おさまれる物から、不二の峰幽かにみえて
  
さすがに読み応えのある段だと思うのですがいかがでしょう。 
 
  

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帚木(15) 空蝉とコトに及ぶ ♡♡ への6件のフィードバック

  1. 青玉 のコメント:

    脚注、流れをつかむのに結構役だっています。
    又このテキストの良いところは各巻の中での話しに、段落があり切れが良く解りやすいことです。

    さて空蝉との契りの場面、紫式部にしては、ぼかさずに割合とはっきり書いていますね。
    状況説明も細かで事の前後の源氏、空蝉の心情も上手く表現されています。

    一見気弱にみえる空蝉ですが、なよ竹の如く女の矜持が感じられます。
    余韻の残る場面でした。

    芭蕉もこの物語を読んでいたと思えば何だか平安、江戸、現在へとつながり文学の歴史を感じさせます。
    先日、博物館で芭蕉ワールドを満喫してきました。
    芭蕉の世界が網羅されたかのような奥の深い展示で、清々爺さんにも見ていただきたかったですね
    会場でNHKラジオ放送のテキストも買うことができ、ちらちらとみております。

    • 清々爺 のコメント:

      1.そうですね、このテキスト本当に優れものだと思います。中々脚注の隅々まで読み込む余裕はないかと思いますが、気になって読んでみると新しい発見があるって感じです。

      2.空蝉との場面ですが色々な言い方があって、寂聴さんは一般の人に分かり易く「これはレイプです」って言ってます。部下の妻を手籠めにしているわけで真っ当な受け止め方だと思います。酒井順子は源氏に迫られると女性は皆源氏と分かった時点で抵抗を弱める →「強制和姦」だと言ってます(「紫式部の欲望」)。そんな言い方もあるのだなと思いました。

       極端なのは江戸の儒学者はこの場面でも実事があったことを否定し「空蝉は貞操を守った。人妻たるものそうあるべし」、、なんて言ってるのもあるようです。そんなこと言えば源氏物語そのものを否定しなきゃならないでしょうに。アホな説だと思います。

      3.芭蕉ワールドのこと、昨日ちょっと式部さんからも聞きました。笈もあったそうですね。テキストみていただくと芭蕉・京都俳諧師たちの共通の基礎教養として源氏物語があったことが分かります。おっしゃるように繋がっているのですね。

       

  2. 式部 のコメント:

      空蝉は芯の強い女性ですね。あったことはあったこと、これからどう生きるかですよね。
    空蝉はその時代の女性としての自然な願望と理性的な判断とのせめぎあいのなかで苦しむわけですが、その心理状態が生き生きと描かれています。そして苦しみが一層空蝉をいい女にしていったのだと思います。
     後朝の情景とあわせて「帚木⑮」はほんとうに読みごたえがあると私も思います。

    • 清々爺 のコメント:

      この段、式部さんの朗読でちょうど11分。源氏物語の段落としてはけっこう長丁場で源氏の首尾や如何と興味津々。朗読もしがいがあったのではないでしょうか。

      「暁に御迎へにものせよ」と言われて引き下がった中将の君。まあ仕方ないところでしょうが、そこで思い出したのは浮舟の乳母。匂宮が白昼浮舟に無体を迫ったとき浮舟の乳母はガマの形相で浮舟を守りましたよね。この辺がカリスマお祖父さんとその孫との違いでしょうか。

      もう一つ、源氏が空蝉に最初にかける言葉が「中将召しつればなむ、」。こんな場面でも機智に富んでいる。この辺も私が源氏を好きなところです。

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